WJJ ZOOMウェビナー「南アフリカのプラチナ最新情報と調査から見た消費者動向」を2023年6月29日(木)開催しました。
永遠に色が変わらない特性を持つ希少なプラチナ。最大の産出国、南アフリカでどうやって採掘しているの? 地金になるまで何週間? 生産過程で人権や環境が守られていることを消費者に自信を持って伝えるためのウェビナー。
Text=Machida Akemi
講師は、プラチナ・ギルド・インターナショナル株式会社、マーケティンググループ ディレクターの佐藤亜沙子さん。プラチナ・ギルド・インターナショナルは1975年から、プラチナ・ジュエリーの正しい知識と魅力を消費者と宝石業界に伝えてきた広報機関ですが、今回お話してくれた内容は、大きく分けて2つ。「南アフリカが牽引するプラチナ産業とその社会貢献」と「調査から見た消費者動向」。プラチナを取り巻く環境の変化や鉱山の状況だけでなく、消費者のジュエリーに対する意識変化についてもお話して頂きました。
プラチナの価値を表す3つのキーワード
PURE 純粋
RARE 希少
ETERNAL 時を越えて(永遠)
世界でプラチナジュエリーと認められるのは、プラチナの含有量が85%以上のものだけ。Pt999(99%)、Pt950(95%)、Pt900(90%)、Pt850(85%)、この4種類が流通していますが、例えばゴールドのK9はゴールドの含有量が37.5%と低いので、プラチナ・ジュエリーは純度が高いことがわかります。
プラチナは非常に希少な存在
日常生活で変質・変色する心配がないことが最大の特性であるプラチナ。産出国の第1位は、南アフリカ共和国で73.6%。年間供給量は、ゴールドの約20分の1です。これまでの総採掘量をオリンピックで使用される50mプールに例えると、ゴールドは3杯分、プラチナは1杯分にも満たない、ひざより下が浸かるくらいだそうです。
最大の産地は南アフリカ
世界のプラチナ産業の7~8割が南アフリカに集中し、採れる地域が非常に限られています。1000m以上の地下で行われている採掘作業についても知ることができました。シャフトをエレベーターで一気に潜り、細い層の鉱脈にドリルで穴を開け、爆破した後、原鉱石を地表に運びます。昔と変わらず、過酷な労働であることは間違いありません。
プラチナができるまで約8週間
プラチナ原鉱石から不純物が取り除かれ、地金になるまでに必要な精錬時間はゴールドで1週間、プラチナで約8週間かかります。そこから空輸されてジュエリーになって手元に届くまで、かなりの時間がかかることがわかりました。
地球環境に貢献するプラチナ
ジュエリーだけでなく、自動車の排ガスを浄化させる触媒作用や燃料電池の分野で使われていることも学べました。さらに、体内に留置されるペースメーカーなど医療機器にも使用されているそうです。
南アフリカの経済を下支え
プラチナ産業は、南アフリカ経済に大きく貢献しています。南アフリカの人口は約6000万人。そのうちの鉱山従事者は46万人、全人口の13人に1人は鉱山に携わり、さらにその3分の1以上、17万人がプラチナ鉱山で働いているそうです。
採掘及び生産過程においては、「国連グローバル・コンパクト10原則」や「国連の持続可能な開発目標(SDGs)」などのルールを遵守。日本で手にするほぼすべてのプラチナ・ジュエリーは、人権や労働などに関する基準を守り、適正に作られていることも説明して頂きました。
消費者のジュエリーに関する意識に変化が
プラチナ・ギルド・インターナショナルが2021年10月に実施した調査から、全国の女性(16歳から59歳1000人)にインターネット調査を行った結果についても話して頂きました。
ジュエリーは必需品ではありませんが、人生を彩るもの。コロナ禍を経て、女性の意識が変わり、ジュエリーに関心を示す女性が急増しているようです。
ジュエリーを入手したい女性が急増
「ジュエリーに関心がある」、「今後1年間にジュエリーを入手したい」という問いに、共に(とても/やや)と回答した女性は前回の調査よりも増えており、多くの女性たちの気持ちがジュエリーに向いているということがわかりました。
特に20代、30代の層で、ジュエリーを入手したいと思っている人が増えているとのこと。今後は20代の方向けのプラチナ、10万円未満でも表現できるプラチナ・ジュエリーを知ってもらい、ぜひ若い方にも手に取って頂きたいとも語っていました。
他にも、ジュエリーのウィンドウショッピングの頻度や地金のトレンド、ジュエリーがテレビなどのマスメディアに取り上げられた件数とその反響などについても知ることができました。
約1時間にわたって開催されたプラチナの最新情報についてのウェビナー。普段知ることのない、南アフリカのプラチナ産業の現状や最新のトレンドなど詳しい話を聞くことができ、有意義な時間となりました。
錆びることなく、いつまでも美しい輝きを保つプラチナ。プラチナの魅力だけでなく、採れる量が限られていて希少なこと、大変な作業を経て日本に届けられるということ、環境や人権が守られ生産過程においてもクリーンであることは、これから消費者に自信を持って伝えていきたいですね。